2016年6月9日木曜日

第4回 「試験用 経済学」・バブル経済と東京商科学院

「試験用 経済学」の4回目、久しぶりに更新します。

 90年代初頭、日本はバブル経済で好景気。
会計系の予備校はどこも超満員でした。メインは、受講料が高い公認会計士講座です。当時は、まさかバブル崩壊なんて思ってもいなかったでしょうから、会計士に限らずどの資格も専業受験生も多かったと思います。

 バブル期には、教育産業とそれに連動した学参図書も大いに活気づいていたと思いますが、そのバブルが崩壊し始めた93年頃は、さらに資格取得に人が流れ、予備校は、もう1つの山を迎えました。
 その頃、TAC会計士科の礎を築いた講師陣の一部は東京商科学院(当時は法商学園、現在とは経営が異なります。)へと流れ、当時、東京商科学院は大きく投資をしていたので、例えば、財務諸表論の講師に飯野利夫や新井清光なども教壇にあがっていたほどです。
 この時の受講生は、日本の会計財務の教員の総合デパートを見たことでしょう。
(その頃、もっとも人気があったトレンディ・ドラマ「東京ラブストーリー」のスポンサーもこの学校がやっていたのです。)

 そこには、御大学者や敏腕実務家、人気講師など1カ所に集まり、総合的に競合され、モノサシができたことはその後、いろいろな意味をもたらしたと思います。
 私はその時は、全く無名で、ここで時間講師をしていました。多くの講義を見させていただき、その後の指導法に大きな影響を与えられました。


 90年代中期以降、日本経済は低成長時代が続き、会計系資格試験受験者が学生やサラリーマン系から従来の家業的なものになっていき、時代はロースクール構想をもとに法律系資格や公務員試験へと人が流れるようになりました。
 経済学は、法学部の人が学ぶための、まさに試験用に特化したものが市場にあふれる時代に突入するのです。