2017年12月21日木曜日

増税を主張する人たち

 日本経済が20年間低成長を続けてきた原因として、消費税増税やデフレをあげる人も多く、現在も増税をもくろむ財務省に批判的な人も多いでしょう。
 しかし、国際競争にさらされている経済官僚の視座は別なところにあるかもしれません。もちろん、目的は何千年も続く「強い日本」「国際競争に勝てる日本人」をつくるためです。


 私がアメリカで住んでいた場所の1つ、ニューハンプシャー州(ポーツマス)はリザベーション地区でもあるので、セールス・タックスがなく、教育もお金がかかりません。非常に安く生活できるので低所得者層やリタイアした人には良いところですが、働き盛りの若者が住むには適さないし、そのことは多くのアメリカ人も理解しています。
 車で数十分で行ける、隣の州はマサチューセッツ州ですが、ここはタックスチューセッツ州と呼ばれるほどの高い税に見舞われる州です。
 しかも、ケンブリッジにある大学に行こうものなら1コース登録するだけで、ニューハンプシャー州の大学1年分の学費に匹敵する額になるところもあります。さらに、追い打ちをかけるように世界一とも言われる高額家賃を払い続ける必要もあります。

 これほど、税金や教育、生活費に差があるのに、それでも人々はマサチューセッツ州に住んで、そこの大学に通い、そこで働こうと考えます。
 そして、ここで生き残るのは、この税金、この教育費、この家賃を払い続けられる強いアメリカ人です。また、こんなところに投げ込まれた外国人は一致団結して防衛策を練るしかありません。そして、彼ら彼女らは国際競争力に立ち向かえる人に育っていきます。
 その地域には容易に入り込めない見えないバリアが形成されます。


 日本経済の20年間低成長に耐え、苦労した親の背中を見て育った90年代以降に生まれた若者たち、彼ら彼女たちはとても強い気持ちと情報を識別する能力が備わっています。
 「次の時代を背負える強い日本の若者」をつくることができたのだから、20年間の低成長期は無駄ではなかったはずです。